神奈川県 横浜市 港南区 上大岡温泉 櫻湯(2006/9/30廃業)






2006/9/16訪問

 最寄り駅は京浜急行線上大岡駅。駅から10分ほど。駐車場は銭湯のすぐ前。リンク→地図

場所は、京浜急行線のガードのすぐ脇です。
残念ながら2006年9月30日で廃業予定とのこと。また一つ貴重なレトロ系銭湯が・・・。

午後17時前に訪問。番台脇には、温泉であることを証明する表示が貼ってあります。脱衣場には上がったお客が3〜4人ほどいました。
洗い場への入り口の左側には、年代物っぽい茶色の木製ロッカーが縦に5個ほど並び、その隣が木のロッカーよりも新めのもの。
その上に、少女が手をつないで輪になって遊んでいる、童謡「掬んで開いて」のタイル絵が飾られています。
番台からすぐ左手手前には、比較的新しい島ロッカー。
奥の庭のそばにはテーブルとイスが並べられ、湯上り後にくつろげるようになっています。。

洗い場には12〜3人のお客。かなり盛況です。男湯との境にサウナ、水風呂、カラン2つ。
島カラン二列のうち一列目は、2・5。二列目は5・5。奥のカランは7。隣に立ちシャワー。

浴槽は白湯と温泉の黒湯の二種類。浴槽のフチはカーブしていて、濃い紫のタイルでふちどられています。
温泉のほうが白湯よりややぬるめで、ゆっくり入れるようになっています。。
ペンキ絵の日付は平成16年。黒湯の浴槽の前に絵に直接、成分の「表示」が貼られています。

見上げると天井付近の窓からは、そばを走る京浜急行線が湯気で曇った窓ガラス越しにチラっと見えました。

脱衣場のドライヤーのそばの鏡に、神奈川新聞で紹介されたときの記事(1986年)がありました。
当時、銭湯としても歴史は30年ほどになっていたそうですが、せっかく井戸水を利用しているのだからと、
成分を調べてもらったところ温泉であることが分かったそうです。
役所への手続きの書類などの煩雑さが大変だったけれど、お客さんが喜んでくれてそれも報われた、と紹介されています。

先ほどの「掬んで開いて」のタイル絵について、銭湯の奥様から話を聞きました。
弟さんが本店をやっていた銭湯が廃業するとき、大工さんが絵をはずして額に入れてくれたとのこと。
他のタイル絵で「南京言葉」「七福神」「明智左馬介(明智光秀の弟)」があったそうです。
「明智」は男湯に飾ってあるのを、番台脇から「ほら、見える?」といって見せてくれました。
他の二枚は骨董好きな方のお宅に飾られているそうです。

いつも明け方始発列車の頃に床に着くという、半日ずれた生活がずっとだったので、老後は普通の暮らしをしてみたい、と思うようになったとのこと。
確かに利用者は「さっぱりした、気持ちよかった」で帰ればそれまでですが、お風呂屋さんはすぐ休むわけに行かないですから・・・。
お客がお金を置くので擦り減ったと言う、番台の手すり部分もこすれて茶色にピカピカしていて、とてもいい味です。

駅近くて温泉も楽しめる貴重な銭湯だけに、惜しい気がしますが、どうかこれからもお元気でいてください。櫻湯さん、ありがとう。。


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