神奈川県 三浦市 高野湯(2006年9月30日廃業)



2006/9/30訪問

日の出商店街の入り口から高野湯方面を見ると、人だかりがしています。以前何回か来たときより人が多い。これは・・・廃業前の取材?
どうしたんだろう、と思って行って見ると高野湯前に人だかりしているのではなく、「市」が開かれて人が集まっていたのでした。

始業前の高野湯の写真を撮っていると、商店街の人から話しかけられました。「そのお風呂屋さんは今日でおしまいだから、撮っといた方がいいよ」
「神奈川新聞に大きく載ったのよ。コピーもあるからご主人に言ったらもらえるよ。」などなど、丁寧に教えてくれたのでした。
この商店街は昔は、地面が御影石だったとのこと。高野湯の入り口下も、よくみれば御影石です(中の洗い場と脱衣場の間の敷居も)。

4時の開店を少し過ぎて行ってみると、番台に誰もいない。
430円を置いてちょっと待っていると、男湯でお客さんと話をしていたご主人が戻ってきました。

既に洗い場にお客が4人。みんな地元の人らしい様子。
「今日はゆっくり入ろうね。」「そうね、出てからゆっくりすればいいよ。」
私もできるだけゆっくりしようとしたのですが、相変わらずお湯は好みの熱め。そして発刊作用がすごい。顔から汗が噴きだします。
9月になってからこんなにたくさん汗が出たのは久々。毎日来れれば体によさそうだったろうけれど。

きれいに磨かれた真っ白なタイルがすがすがしい。洗い場の照明も白熱灯にシンプルなシェードだけ。
どこかの湯治場に来たような、ちょっと鄙びた雰囲気。ペンキ絵はところどころ破けた部分を画鋲でとめてあります。
側面が白いタイルの浴槽は、内側がやや小さめの淡いブルーのタイル。真ん中で区切って、浅めと深めにしています。

「今度はあっちのお風呂屋(たぶん東岡のクアーズ三崎)は坂を上ってかないといけないから、荷物はできるだけ減らさないと・・。」
などと、洗い場では、高野湯がなくなった後の話が続いていました。

上がるとご主人のお孫さんらしい、小学生くらいの女の子二人が番台に座っていました。
「いらっしゃいませ」「ありがとうございましたっ」と元気よくお客さんに声をかけています。
そのうちお姉ちゃんが妹のお菓子を食べてしまったとかで、ケンカが始まってしまい、ご主人がたしなめる場面も。
二人ともかわいい。何かのコマーシャルのモデルをやっているとか。


牛乳類がもうなかったので、ビックルを買って飲んでいると近所の人?が来て、
飲み物のショーケースを他所で利用できないか、などと相談していました。。

外でカメラのストロボの光が見えました。ご主人の娘さんが記念写真を撮ってもらっていたらしい。
なごり惜しいけれど、最後に全体を見まわして帰るとき、
「ありがとうございました」と番台に座っていたお姉ちゃんに声をかけられました。

この後、高野湯の建物はどうなるのだろう。特に建築計画などの貼り紙はありませんでした。
でも三世帯住宅をちょっと思い浮かべてしまいました。

この風呂屋がなくなったらもっと人が来なくなるよ。今日は夕市だったから人多いけど、普通だったら全然少ないよ。
洗い場で聞いたお客の話を思い出す。

この商店街も三崎の街も昭和レトロなとてもいい雰囲気があります。当事者でないし何も言えないけれど、ただ好きだった。
もっと時間を作って来ておけばよかった、と後からそんな考えが浮かんで来た。

高野湯さん、いままでありがとうございました。お体大事にしてください。





2006/8/13訪問






 京浜急行線三崎口駅。駅から三崎港までバスを利用。

番台タイプです。

大正時代に建てられた建物を使用しています。お湯は熱め。
隣の男湯から「熱い〜熱い〜」と時々声が聞こえてきます。エアコンは、なし。扇風機とうちわで暑さをしのぎます。

浴槽はシンプルに一つ。四角柱の島カラン(?)があります。ペンキ絵は「河童橋」。男女の境には近江八景のタイル絵。

かなり開放的・・というか、これは男湯は外から見えてしまうかも。洗い場と脱衣場の仕切りも透明のガラスで、かなり見通しがいい。
ロッカーも昔ながらの木のタイプですが、ほとんどカギが壊れているようなので、脱衣カゴを利用する人が多かった。ドライヤーは、なし。

この日は盆休みの真ん中だけあって、日焼けした海水浴後のお客さんを見かけました。

かつては漁師さんでにぎわったとか。今はボランティアのつもりで営業を続けているそうです。
このお風呂屋さんのある、すずらん通り商店街もなかなかいい雰囲気を出しています。

自分の中では今のところ一番の「レトロタイプ」。文化財として保存してほしい。


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