銭湯関連イベント

「杉並のお風呂屋さん」展  杉並区立郷土資料館 2006/08/06








現在、消えることはあっても、増えることはまずない「銭湯・お風呂屋さん」。
水に恵まれた日本ならではの文化である「銭湯・お風呂屋さん」について、もっと親しんでみませんか。
杉並区の郷土博物館では、その歴史・舞台裏などについて展示の資料、
専門家の講演などを交えて「杉並のお風呂屋さん」展紹介しています。


昭和40年代の最盛期には120件あった杉並区の銭湯も、いまでは40件。各家庭にお風呂が普及したことが銭湯減少の主な
原因ですが、健康のため、コミニュケーションの場として、レトロ文化にふれるきっかけとして、など時代の変化に合わせてその役割を変えつつあります。

資料館の入り口・内部には銭湯の「のれん」が飾られています。


実際に使用されていた番台、ロッカー、体重計、飲み物を販売していた冷蔵庫、ポスターなどが展示されています。。

洗面器はガラスケースの中に。「ケロリン」の桶が定番ですが、そのほかにも種類があります。
珍しかったのが「ガリガリ君」の桶と、「エヴァンゲリオン」ネルフの葉っぱのマークのついた桶。
ケロリンの桶は、はじめは白かったのですが、汚れを目立たなくするため黄色になったようです。


お正月の初湯の時にお客さんに配られる「干支せっけん」も展示。

銭湯の奥「舞台裏」である下風呂、煙突掃除の様子、燃料である薪や石油の説明、浴槽作成のプロセスの展示があるのも、
普段見られない場所なだけに貴重なものです。銭湯らしさをかもし出す、富士山の絵でよく知られている「ペンキ絵」の職人さん・絵師は、
もう都内では4名しか残っていないとのこと。今はタイル絵・モザイクなどが増えてきています。


番台に座ることができますよ。意外と低かったです。

銭湯の歴史については、江戸時代の浮世絵や指物師の作った「湯屋」の模型(非常に高価で資料館では保険をかけている
とのこと)を展示しながら説明しています。風呂屋=蒸し風呂、湯屋=浴槽でお湯につかる・・・という違いがあるそうです。


6日午後からは庶民文化研究家で銭湯に詳しい町田忍氏の講演がありました。
定員60人のところ、40〜50人くらいが集まっていました。

町田氏から銭湯の歴史について説明の後、各地で取材した銭湯のスライドを上映。
地域によって銭湯の建物にも特徴があります

お寺みたいなのは、関東型。関東大震災後に多く建築されたようです。
北海道や関西は、レトロな洋風建築が目立ちます。地方の銭湯って、味がありますね。
どういうわけなのか沖縄の銭湯は浴槽が小さい。それも大人3・4人入いれば満員になりそうな小ささ。
脱衣場と洗い場の間に仕切りや壁がなかった(これは江戸時代の湯屋と同じ)。


町田氏が「印象深かった」と言ってた九州の銭湯の話はちょっと驚き。

その銭湯は海に近く、最盛期には漁師さんや船員さんが多く利用していたそうです。
崩れ落ちそうになる天井を、細長い材木で何本も支えながら雨漏りする中を営業。
お客が来てからお湯を入れるので、浴槽の半分くらいしか湯量がありません。
そのためお客は仰向けに寝そべりながら入浴しています。床にはゴキブリが!!
・・・と思ったら、海が近いのでフナ虫がいっぱいいた、ということです。

話を聞いてかなり惹かれましたが、昨年?の台風で建物がだめになってしまい、残念ながら廃業したということです。


銭湯は生活の場なので、地元の人しか知らない・・・ということも多く、看板ものれんも出ていない銭湯があるようです。
このスライドをみたら、各地の銭湯に「のどから手が出るほど」行きたくなってしまいました。旅心をそそる話・内容だった。

最後の質問コーナーでは、「東京の銭湯は暑すぎて、病気をした身にはつらい」とうったえるお客さんの声があり、
講演を聴きに来ていた銭湯オーナーが「浴槽全体の温度を下げないで、湯をうめる方法」をこたえる場面もありました。


町田氏によれば、いろんな地域で銭湯の展示をやっているようですが、ここ杉並郷土博物館の展示はなかなか充実しているそうです。



問合せ先リンク→特別展「杉並のお風呂屋さん」

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